|
製品やサービスを生産するにしても、販売するにしても、顧客にその実際を知ってもらい、投資する価値のあるものだということを理解してもらいたいと思いませんか?この価値は、製造業者、または供給者としての企業側で設けたプロセスの結果に生じる産物です。製造業であっても、サービス配達業であったとしても、このプロセスは個々の業務を連続させたものであるため、抜本的な改善をすることは不可能ではありません。そこで、企業は次々に生産プロセスを改善するために新しい方法論を開発させていったのです。後に、これらの動向がきっかけとなり、リーン思考という言葉が概念化されたのです。
リーン思考という概念は、新しいものではなく、また、20世紀に入ってから日本から伝わってきたものだと勘違いをしている人もいますが、リーン思考自体は新しい概念ではありません。下の例からもお分かりいただけるように、完璧なプロセスを目指すには、非常に多くの試行錯が伴います。
15世紀のベニス海軍は、部品の標準化の利点に気付いていた。 -
18世紀のフランスでは、金属部品の標準化を定める法令を成立させていた。 -
19世紀に米国陸軍は、南北戦争の作戦の標準化を図っていた。 -
20世紀初頭、ヘンリー=フォード(Henry Ford)は生産の流れやその標準化についての考えを導入していた。 -
1930年から1950年にかけて、トヨタ自動車株式会社の創業者、豊田喜一郎は質の測定や標準化をさらに推し進め、形式化していった。
そして、リーン思考とは、リーン生産方式が世界の自動車産業をこう変える(原題: The Machine that Changed the World)の中で、第二次世界大戦後の日本の自動車製造会社の採用していたトヨタ生産方式 (TPS)
を基にした概念として世界に発表されました。
20世紀に入り、あちこちの企業が生産プロセスを改善させるために新しい方法を開発し始めていました。この動向を受け、1990年、マサチューセッツ工科大学 (MIT) の研究者が、リーン生産方式が世界の自動車産業をこう変えるという本にまとめました。この本の出版が、リーン思考という概念が世界に広まるきっかけだったのです。
ただの生産からリーン生産へ
リーン思考は生産プロセス内の無駄を除去し、流れを効率化させるための方法をいくつか提案しています。つまり、リーン思考は、顧客にいたるまでの生産の流れに焦点を当て価値を最大限、無駄を最小限にすることを基本目的としています。
リーン思考の5原則:
顧客の立場から、価値 を明確化する。 -
各製品やサービスの価値の連鎖を把握する。 以下の2つの方法により、価値の流れのスピードをでき るだけ速める: 無駄を生む段階を除去する。 価値を生む活動を合理化する。
必要なものを顧客が抜き出すことができるようにする。 改善し続けることにより 完璧を目指す(無駄なし)
|
リーン生産からリーン・ソリューションへ
リーン思考は、生産プロセス内での無駄を除去するリーン生産の原則を生み出すきっかけとなりました。次に、リーン・ソリューション は、リーン消費 という消費プロセスから非効率性を除去する原則を説明する語として使われるようになりました。 さらに、リーン思考が系統だったモデルとして企業に適用されると、リーン企業モデル (LEM)という語が生み出されました。
リーン企業モデル (LEM) は、製造部署だけでなく、企業全部署の業務活動にリーン思考を適用させるもので、リーン思考を企業全体に行き渡らせるため、また、将来、無駄をさらに省くべき部分を把握するための原則や慣習をまとめたものです。
リーン企業モデル (LEM) の原則:
- 変化に対応する。
- 無駄を最小限にする。
- 正しいことを、正しい場所で、正しい時間に、正しい量で。
- 価値の流れの中での相互関係を効率化せよ。
- 改善し続けよ。(kaizen)
- 最初に仕上げる部品の質を最高にするように図れ。
|
リーン企業モデル (LEM) の慣習:
- 企業の業務の流れを把握し、最適化する。
- 情報の流れが円滑かどうかを確認する。
- 能力や人材を最大利用する。
- できるだけ低いレベルで決断をする。
- 統合製品やプロセス開発を導入する。
- お互いの信頼や献身的態度により関係を作る。
- 常に顧客に重点を置くこと。
- どんな業務レベルでも、リーン思考によるリーダーシップを発揮する。
- 既存のプロセスを常に疑え。
- 学びの環境を大切にするべし。
- プロセスの可能性や成長を確認するべし。
- 環境の変化の際、安定性を最大限に図れ。
|
リーン企業モデル (LEM) is に関する詳細は、
Lean Aerospace Initiative (LAI) (英語のみ)をご覧ください。
|
James P. Womack氏は、 Lean Enterprise Institute (LEI) の創業者でありるとともに、社長でもあります。
Womack博士は、1970年にシカゴ大学の政治学科を卒業し、1975年、ハーバード大学で輸送システムを専攻し、修士号を取得、1982年にはマサチューセッツ工科大学の政治学の博士号を取得しました(博士論文のテーマは米国、ドイツ、日本の産業政策の比較)。また、1975年から91年にかけて、マサチューセッツ工科大学にて研究科学者として世界の製造慣行の比較研究を指揮しました。
Womack氏がDaniel T. Jones氏とともに執筆した書籍には、ベストセラーを記録し、世界に多大な影響を与えた経営関係の書籍 -リーン生産方式が世界の自動車産業をこう変える やLean Thinking: Banish Waste and Create Wealth in Your Corporation- があります。これらの出版により、生産の場でのリーン思考の原則や慣行を世の中に広めました。 |
|
Daniel T. Jones氏 は、Lean Enterprise Academy (LEA)の創業者であるとともに、社長でもあります。
Daniel T Jones氏は、IMVP(International Motor Vehicle Program)ヨーロッパ拠点のディレクターを務めるたけでなく、英国カーディフ(Cardiff)大学ビジネス・スクールの製造管理の教授であるとともにLean Enterprise Research Centreの創立者でもあります。
また、英国政府の「Rethinking Construction, Manufacturing Futures, Automotive Innovation and Growth and Skills for Sustainable Communities」の調査特別委員会の元会員。英国のUnipart社やICDP(International Car Distribution Programme)で最初の企業向け大学の設立援助もしました。
加工食品業界における効率的消費者対応(ECRヨーロッパ)のアドバイザーでもあります。 |
リーン思考とは、大量生産という製造法がきっかけとなって生まれた概念です。トヨタ自動車株式会社という一企業のトヨタ生産方式(TPS)
という方法が、唯一、リーン思考を社内だけでなく供給業者などをも含めた製造に関わる組織全体に行き渡らせていたのですが、他の企業でもすでにこのような考えを事業プロセスの一部に採用していました。そして、製造業のリーン思考に対する興味は今も高まり続け、その支持者はますます増加する傾向にあります。
後に、製造の場に限らず、リーン思考を他の部署(エンジニアリング、管理、財務、マーケティング)やサービスなど、製造とは異なる活動の場にも推し進めよう、という動きが高まり、今ではほとんどの企業がこの考えを持っています。リーン思考は、工場だけでなく、世界のどんな組織にも有益な考えなのです。
|