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製品ライフサイクル管理(PLM)の背景

製品ライフサイクル管理(PLM)は、数十年前に個別生産形態分野における製品定義情報(主にCADデータ)の保存と管理を目的として生まれた。当時、この種の管理システムは、一般にEDM(設計データ管理)あるいはPDM(製品データ管理)とよばれ、製品定義業務は主にデザイン部門が管理していた。

業種の領域を超えた着実な情報網を持っていると(広範な企業向け環境を包括していれば)、製品開発プロセスを早めるのに非常に有益で、顧客のニーズにより良く対応し、より早く低価格な製品を提供できるということが時間が経つにつれ認識されるようになってきた。製品定義情報および製品のライフサイクル全般において製造者とユーザーが協力することで、個別生産だけでなく、プロセス製造業、ハイテク、一般消費財(CPG)やサービスといった業種でもPLMが具体化され、模範的な管理手法となった。

2種類のPLMベンダー

次に進む前に、PLMがソリューションとして役立つ要素について考えてみよう。PLMには複数の定義があり、PLMシステムに関して業界では意見が異なるが、一般にPLMは以下の二つのカテゴリーで構成されている。

a. PLMツール:このツールにはCAD、コンピューター支援製造(CAM)、コンピューター支援エンジニアリング(CAE)など、製造業向けコンピューター支援技術が含まれる。

b. コラボレーティブ製品定義管理(cPDm):PLMツールによる文書やデータを管理し、製品ライフサイクル内の異なるグループにコラボレーティブなプラットフォームを提供する。

PLMの始まりがエンジニアリング(PLMツール)であるので、CADとcPDmとの統合に必要な個別生産形態に対応した機能を熟知しているため、主なPLMベンダー(Dassault Systèmes、Siemens PLM、PTCなど)は、CADとその関連分野で際立った存在とされている。これらのベンダー三社は、PLMツールとcPDmソリューションの両方を提供しており、PLM市場における総収益の約半分を占めている(データ源:AMR)[1]。これらのCAD-PLMベンダーが強力な理由は明らかである-CADから始まり、製品定義情報を管理するためのCADユーザーの需要に答えながら、cPDmソリューションを開発してきたからである。

一方で、CAD、CAM、CAEの機能なしにcPDMソリューションを提供しているベンダーグループがある。CADなしのベンダーがPLMツールのないcPDmに移行する理由はいくつかあるだろうが、一連の買収(Infor社のFormation Systems買収、Oracle社のAgile買収、最近ではLawsons社のFreeBorders PLM買収など)の後、ERPベンダーがPLM市場で強力になってきていることは明らかである。これらのERP-PLMベンダーは、CADの利点はないが、企業向け管理システムにおける広範なインストールの基礎がPLMに対応することで販売機会を増やすかもしれない。結局のところ、多くのユーザーにとってPLMはただの管理システムのひとつに過ぎない。

また、CADもERPシステムも提供しないcPDmベンダーもあるが、PLM市場における二大ベンダーはCAD-PLM、ERP-PLMベンダーである。これら二つのベンダーには何か違いがあるのだろうか?-もちろん。主な違いを把握する一つとして、企業向け環境でPLMが橋渡しをしなければならない二つの格差を検討する方法がある。

製品定義情報と企業向け環境との二つの格差

理想的には、製品定義情報と企業向け環境の間には、格差があるべきではない。主要な製品定義情報はデザイン部門が管理しているが、デザイン工程だけでなく、製品、マーケティング、セールス、その他サービスなどの間接工程でも、この情報に即座にアクセスできなければならない。一方で、設計、開発段階における意思決定では、生産、マーケティング、セールス、その他サービスからのデータは重要なものである。しかし、CADとERPシステムはお互いの特徴を把握せずに開発されたため、二つを統合すれば製品ライフサイクル関連のほぼ全ての業務がカバーできるという利点が認識され始め、二つの格差が障害となりだした。

  1. PLMは、この二つの格差を埋める選択肢であった。実際のところ、PLMアプローチは二つの格差を埋めることができる。まず、PLMツールとcPDmの間の格差を埋め、その格差は主にCAD統合によって処理される。そして、cPDmとERPとの格差は、通常ERP統合によって処理される。

  2. 製品定義データとERPシステムを直接結び付けた方がいいのだろうか?いや、そんなはずはない。まず、ERPは取引データの処理にはいいが、製品定義情報の幅広さには定評があるわけではない。次に、ERPは製品定義の一部のデータだけを必要とする。第三に、PLMツールとERPは業界が別々に形成されていることから、cPDmがこれら二つのシステムを橋渡しをする最適なソリューションである。今日、PLMツールとERPのベンダー両者は、cPDmが戦略的なものであることを認識している。

CAD、ERP統合に対応したソリューションは?

これまでPLM(正確にはcPDm)の主要な2種類のベンダー(CAD‐PLMとERP‐PLM)について説明してきた。これら二つのPLMは開発過程、知識、技術も異なるため、二つの格差を埋める機能にも違いがあるようだ。視覚的にこの差を説明するために、任意にTechnology Evaluation Centers (TEC) PLM評価センターから、CAD製品を提供していないベンダーと、CADを推奨しているベンダーからそれぞれ二つのソリューションを選んでみた。CADおよびERPの統合に対して、4つのソリューションのスコアを比較することで、CADでは高いスコアを得たソリューションがERPでは低い評価をされている。その反対でも同様のことが言える(図1を参照)。

これら4つのソリューションはPLM業界全体を代表するものではないが、CADとERPとの統合には異なる技術と知識が必要で、これらの違いはベンダーの専門分野を反映している。

ぴったり合ったソリューションの見極め

ぴったり合ったPLMソリューションを見極めるために、その発祥を理解することは、とても有意義なことである。以下の三要素が、統合のニーズを明確にし、選定結果を左右するはずだ。

  • CAD、CAM、CAEの使用: 一般にCAD、CAM、CAEが複雑になればなるほど、CAD-PLMが必要になってくる。CAD-PLMベンダーは、CAD製品を統合する強力な力を持っている。PLMツールの長期にわたる実践によって、CAD-PLMベンダーはCAD製品との統合に優れている。しかし、だからといってERP-PLMソリューションがCADユーザーからの契約をもらえないとは限らない。主流なCAD製品の中には、統合条件を満たす統合ツールを支援しているものもある。同時に、主流なERP-PLMベンダーは、CADベンダーと協力して連結性を強めようとしている。

  • 業種および製品の特徴: 個別生産形態の製造業者で、複雑な製品構造を持っていれば、CAD-PLMこそまさに必要とするものである。もし、製品が複雑な構造を持っていなかったり、あるいは構造が全くないのであれば、ベンダーはその発祥よりもソフトウェア選定プロセスにおける重要な基準を注目する(例:CADあるいはERP)。

  • 統合レベル: 希望する統合レベルを評価する必要がある。シームレスにリアルタイムで二方向性に統合することは、どのITマネージャーにとっても理想的であるが、これを達成するにはかなりのコストがかかり、ほぼ不可能だとされている。より良いアプローチは、CADとERPに対応した手頃な優先順位を統合の必要条件として設定し、PLMソリューションの選定にこの優先順位を使用することである。

今後の見解

統合の可能性を考えた際にCAD-PLMとERP-PLMとの間には今だに違いがあるが、その格差は狭まってきている。

技術的な見解から、PLM業界では統合に関する課題に対し、次の二つのアプローチを使用している。

まず、個々の製品間では、常時統合が起きている。この考えに基づき、CAD、cPDm、ERPベンダーは、特定製品と他の製品とのつながりを構築しようというのが一つ目のアプローチである(例:「PTC Pro/ENGINEER Wildfire」と 「SAP PLM」間の統合など)。

二つ目のアプローチは、不特定製品統合をサポートする技術を使う手法である。この技術には以下のものが含まれるが、これだけに限られたものではない:

  • 業界基準-国際標準化機構10303(=ISO 10303、あるいはSTEP<Standard for the Exchange of Product model data>の別称もあるが、ISOによる国際規格であり、コンピューターが解読可能な工業製品データの表現および交換の規格である)など

  • データ統合ミドルウェア-データ統合と相互運用性を可能にするアプリケーションを接続するソフトウェア

  • CAD統合ツール-PLMと他の管理システムがCADデータを入手し、製品定義情報の統合を維持できる特別なミドルウェア

  • SOA(Service Oriented Architecture)-ビジネスプロセスに参加する際に、異なるアプリケーションがデータを交換できる手法

技術が進むにつれ、CAD-PLMベンダーは業界全般であらゆる経験を積むことになる。そしてERP-PLMベンダーが、製品デザインとエンジニアリング分野に関与するにつれ、CAD-PLMとERP-PLMソリューションが似通ったものになってくる(多少の違いはあるが)。いつの日かPLMソリューションの始まりは、統合機能においてそれほど重要でなくなるかもしれない。なぜならPLMはただのPLMに過ぎないのだから。


 

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